Live Aid

[ 音楽 ]
2006年12月7日 木曜日

1984年にブームタウン・ラッツのリーダー、ボブ・ゲルドフを中心に、イギリスやアイルランドのアーティストが集まって『Band Aid』を結成、『Do they know it’s Christmas?』をリリースした。翌年にはアメリカのアーティストが集まり、『USA for Africa』として『We Are The World』をリリース。そして1985年7月に、ゲルドフが主催者となって、ロンドンとフィラデルフィアで同時にアフリカ飢餓救済コンサートを開催したのがこの『Live Aid』。

アメリカ側は、マイケル・ジャクソンスティービー・ワンダーブルース・スプリングスティーンシンディ・ローパーといった、『We are the World』の中でも目立ってた面子が出演しなかったし、フィナーレも(テレビで見てると)盛り上がった感じがしなかったせいか、不十分といった感があったが、イギリス側は『Do they know it’s Christmas?』の録音に参加してなかったポール・マッカートニーザ・フークィーンエルトン・ジョンデビッド・ボウイといった豪華メンバーが揃った。

コンサート当日は、フジテレビ系ネット局で、土曜の夜から日曜の正午まで生放送された。中学生だった自分は、ビデオテープ1本6時間という計算で、3本用意し、6時間ごとに目覚ましをセットし、テープを取り替えるという、強引なことをやって、放送されたものほぼ全て録画した。とは言え、20年以上も前の話だし、好きなアーティストのセッションは何度もみて、文字通りテープが磨り減ってしまって、三本とも今では観れる状態ではない。

主催者のゲルドフは長年、市販品としてLive Aidがリリースされるのを拒み続けてたが、2004年11月、ついにDVDセットが発売された。その頃どこかの店で見つけたものの、なんとなく高い気がしたんで、保留にしてたんだけど、この月曜、本屋のDVDセクションを見てたら、DVDセットを見つけたので、とうとう買ってしまった。

全体的にはOKかな。放送当時は、やたらとフジテレビスタジオでの司会者と出たがりとも思われる日本のアーティスト連中の座談会や、民放には避けられないCMで水を指されまくったが、DVDの場合、収録されてる範囲では、一曲一曲ノーカットで観れる(当たり前だが)。

ちょっと残念だったのは、フォー・トップスや、大ファンってわけじゃないけど、CSN&Yレッド・ツェッペリンの再結成セッション、サンタナパット・メセニーの共演が入ってなかったこと。まぁ、色んな事情があったらしいけど。

エキストラとして、当日会場で流された、イギリスやアメリカ以外の国々でアーティストが集まって同様にリリースした曲など、貴重な映像が入ってる。でも、この系統の曲で自分が一番気に入ってた、カナダの『Northern Lights』が歌った『Tears are not enough』はなぜか入ってなかった。

まぁ、あれだけのコンサートを4枚のDVDに突っ込むわけだから、全て収録ってわけにはいかんだろうな。

ロンドンでのフィナーレでみんなが集まって『Do they know it’s Christmas?』を観客と共に大合唱したのはもちろん凄かったし、当時多少人気が落ち目かと言われてたけどこのライヴでパワーを再確認させたクィーンに関しては当日の演奏曲全て入ってるし、パティ・ラベルが熱唱したジョン・レノンの『Imagine』とボブ・ディランの『Forever Young』、彼女の出番の後に続いたホール&オーツテンプテーションズの元メンバーのデビッド・ラフィン&エディ・ケンドリックスの共演、その四人をそのままバックバンドにしてしまったミック・ジャガー&ティナ・ターナー、そしてアコースティックギターだけのセッションなのにローリング・ストーンズのキース・リチャーズとロン・ウッド(この頃はミック・ジャガーと不仲)を両側に従えて歌ったボブ・ディラン…と、自分の中で思い出に強く残ってる曲が殆ど入ってたんで、満足と言ったとこか。

アメリカ側のステージのオープニングで、ジョーン・バエズが「これは皆さんにとっての、待たされ過ぎたウッドストックです。」って言ってた。

ウッドストックの一年半後に生まれた自分の世代には、確かに『Live Aid』こそが音楽好きとして一生思い出に残るイベントの一つなのかも知れない。


DVD: The Spectacular Legacy of the AWA

[ プロレス ]
2006年12月4日 月曜日

先月後半、WWEから、『The Spectacular Legacy of the AWA』というDVDセットがリリースされた。1960年から1991年にかけて活動していたAWA (アメリカン・レスリング・アソシエーション)という団体のドキュメンタリーだ。

アメリカとカナダのプロレスは、1980年代まで、各地区でプロモーターがそれぞれプロレス団体を運営し、他地区には侵攻しないというテリトリー制になっていた。AWAはミネアポリスを中心に、ミルウォーキー、シカゴ、デンバー、ラスベガス、サンフランシスコといった、中西部から西海岸に亘る広域を牛耳っていた。

だが、1980年代に入り、ケーブルテレビが普及すると、特定の団体の全米中継も可能になり、その中でもニューヨークを中心とする北東部で活動していたWWF (現WWE)は、テリトリー制を無視し、他地区に乗り込み、AWAから多くの選手を引き抜いた。選手大量離脱に加え、最終的にはミネソタ州が、AWAオーナーのバーン・ガニアに対して、所有していた土地の一部から強制撤退を命じたことにより、ガニアは大きな経済的打撃を受け、AWAは1991年に閉鎖することになる。

去年、WWEは既に所有していた過去の他団体からの映像に加え、バーン・ガニアから、AWAの映像に関する全ての権利を買収し、その膨大なライブラリに加えた。

んで、そのDVDだが、多少歴史的事実に関して(意図的に?)正確ではない部分があったにせよ、全体的には、WWE側の見解だけによるプロパガンダではなく、ガニア親子や、AWAで活躍していた選手やアナウンサー達のコメントも交えた、バランスの取れたドキュメンタリーだと思う。WWEオーナーのビンス・マクマホンJr.やバーンとグレッグのガニア親子だけではなく、ラリー・ヘニングやニック・ボックウィンケルといった、かつてAWAでトップだった選手達のコメントもしっかり聞ける。試合の映像も、特に70年代以降のAWAでは、試合内容は別として、重要なものが多く収録されている(もちろん、「この試合も入れてほしかったなぁ…」という声も多いが)。

WWEによって崩壊させられたと言っても過言ではないAWAが、閉鎖から15年後、そのWWEによって日の目を見ることになるとは、多くのオールドファンにとっては皮肉な話なんだろうと思う。