クリスマスって…

聖書には、イエス・キリストが生まれたのは12月だなんてどこにも書いてないんだが、色んな経緯で12月25日がクリスマスになってしまった。いずれにせよイエスの降誕を祝う日だということは事実だ。

だが毎年この頃になると、ちょっと虚しくなってくる。クリスマスショッピングをしてる人達を見てると、この中のどれだけの人がクリスマスが何か覚えてて祝おうとしてるのか…などと考えてしまう。自分がまだ日本にいたころは、クリスマスのためにホテルやディナー、プレゼントで数十万円使うのは、全然おかしくないといった状態だった。本質無視で上辺の真似事や形だけってのは日本人に多いんで、驚くことでもないんだが、今でもそうなんだろうか。とにかく、自分にしてみれば虚しい話だ。

以前ある牧師が言ってたっけ。今のクリスマスって、ある誕生日パーティに多くの子供達が招かれて、みんな食べ物やおもちゃばかりに夢中になり、誕生日を迎えている肝心な本人が寂しい想いをしてるのと同じだって。

イエスは、ヨセフとマリアの泊まる場所が見つからなかったために、馬小屋で生まれた。今朝の礼拝でも言ってたけど、決して物質的に豪華な誕生ではなかった。十分馬糞の臭いもしてただろう。だが今の人々は、そんな状態で降誕したイエスを無視して、クリスマスを商業的に豪華にしまくっている。みんなが盛り上がろうとしている中、孤独を改めて感じる人も多く、アメリカでは一年でこの時期が一番自殺率が多いとも聞く。

ところで、昔から『クリスマス休戦』ってのが世界各地であったとか。クリミア戦争やアメリカ南北戦争、第一次世界大戦などでも、クリスマスの間だけは戦いが中断され、中には敵同士で共に賛美歌を歌い礼拝を持ったというケースもある。日本で記録されている最初のクリスマスってのも、16世紀に織田信長と松永久秀が堺で戦いをしながらも、クリスマスには両軍の兵士70名が共に礼拝をささげたということだったらしい。

確かにこの時期はイエスなんかそっちのけで金儲けしてる奴や意味無く祝ってる連中も多い。その一方で孤独を感じてる人達も多いだろう。でも世界的に見ると、やっぱこのクリスマスってのが、一番多くの人々が平和を感じてる時期なんじゃないか…とも思う。

イエス・キリストって、もしかしたら、十字架の上で世界中のみんなのために自分の人生を犠牲にしたただけじゃなく、祝ってもらうはずだった自分の降誕記念日までも犠牲にして、人々に『平和な気分になる口実』を与えてくれたのかもしれない。

[関連リンク: クリスマスって本当は何なの?

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