今朝、用事のために、自宅から車で20分ほど北上したとこにあるマウントキスコという町に行ってきた。
6年半くらい前まで働いていた会社では、お客さんがその付近に多かったので、週に何度も通ってた場所だが、今じゃ滅多に来ることがない。
パークウェイを走り、クリントン元大統領(っつうか次期?)夫婦の住むチャパクアという町を過ぎ、マウントキスコとの間の出口で降りる。
現在は色んな会社や診療所が入った場所になっているが、1939年から約5年前までは、『リーダース・ダイジェスト』という雑誌の本社があった。そのパークウェイを出たとこの道路の名前も変わらず『Reader’s Digest Rd.』。
自分にとっては大変馴染みの深い名前だ。物心ついたころには既に、母ちゃんが『リーダース・ダイジェスト』日本版を通信販売で定期購読していた。
当時の自分には難し過ぎたか退屈だったか、内容まではあまり覚えてないが、記事も広告もアメリカ関連のものが多かった。
母ちゃんは、生涯一つの町にしか住むことがなかったが、本棚には海外の写真集や日本語訳された推理小説が並び、洋画も大好きで『スクリーン』や、内容によっては『PLAYBOY日本版』も買ってたし、持ってるレコードもクラシックや洋楽が殆どだった。あの田舎に住みながらも、母ちゃんは海外、特にアメリカに対する憧れを持っていた。
何度か書いたとおり、自分がニューヨークに来たいと思い始めたのは、ビリー・ジョエルの影響が強かったが、幼い頃から身近で母ちゃんの周りにアメリカ関連のものが溢れてたってのも大きな理由だと思う。
母ちゃんの鏡台のそばにいつも置いてあった『リーダース・ダイジェスト』日本版もその一つ。
「もう廃刊なんじゃと。おもしろかったのに。」と残念がってたのが1986年。翌年自分は渡米。
結局、両親唯一の海外旅行は、うちらの結婚式の時だけだったが、当然忙しいばかりだった。自分には、いつかまた金ためて、二人を呼んで、ゆっくり旅行させてやりたいという夢もあった。
今でも、通る度に、そんな複雑な気分にさせられる。
母ちゃんは、一度もこの場所に来たことがなかったっつうのに。





