今週末は、嫁さんの元同僚の結婚式で、アパラチア山脈の中のキャッツキルという山地へ行ってきた。
どこに行っても大騒ぎするせがれを式に同伴するわけにもいかないんで、嫁さんの案で自分の『音楽の相方』である友人に一緒に泊まりに行って面倒を見てもらうことに。
ホテルを予約しようとしたのが遅かったんで、どこも満員。これまた嫁さんのアイディアで、山小屋を借りることにした。
金曜の夕方、自宅を出て、目的地の近辺に着く頃には暗くなりかけてた。途中でどこかレストランにでも入って夕飯を済ませるつもりだったが、そうしようと思ったら、なかなか面白そうな店が見つからない。やけに場違いな感じのリゾート施設があったんで、もう少し進んで、もし何もなかったら、諦めてそこにしようと思ってたら、ステーキ屋を発見。その町がフェニシア(Phoenicia)、店の名前もThe Phoenician Steakhouseだったんで、チェーン店じゃない地元の店だろうという理由で寄ってみることにした。入り口でメニューを見ると、普通の高級なステーキ屋をちょっと安くした程度で、うちらには結構高めだったが、せっかくなんで、一か八かで入ることに。
店員の話だと、その日は、リブアイスペシャルがあるとのことで、$29でリブアイステーキにサイドメニューとしてサヤインゲンやマッシュポテト、ヨークシャー・プディング、さらにデザートでパンプキンチーズケーキも付くとのことだったんで、早速そのセットと、もう一つボロネーゼも頼んで、三人で分けることに(せがれはこども用ハンバーガー)。ステーキは予想してより大きく、パスタもまるで手打ちかのような美味しさで、ステーキのサイド3点も、おまけに(嫁さん曰く)せがれ用に注文したハンバーガーまで、全てが美味しかった。マンハッタンだと、あのステーキセットの味と量なら$50でも無理だろうなぁ…。とにかく、全員満足した後で、目的地の山小屋へ。
到着するころには既に真っ暗で、文字通り山奥なんで、街灯もない。最後に曲がる道には、標識もなかったが、「多分これだろうな」って感じで曲がってみたら当たってた。よくまぁあんな状態で着けたもんだ。
小屋に入り、荷物を整理して一段落ついたら、予定どおり、友人と二人で外のテーブルで飲むことに。嫁さんとせがれも途中出てきたが、寒すぎたみたいで、すぐに入ってった。彼女はこの日を楽しみに買っておいたTrader Joe’sの亜硫酸無添加ワイン、自分はステーキ屋の兄ちゃんに尋ねておしえてもらったスーパーで買ってきた大好きなオーガニックビール『Peak Organic IPA』。近所のバーの外のテーブルではしょっちゅう飲んでるし、旅行で静かな海辺ってのはあったが、山の中の静かな環境で、それも夜にゆっくり飲むなんて、もしかしたら初めてかも。



翌日土曜は朝から近所のファーマーズマーケットへ。色んな地元産物が売られてた。そこでクッキーやハードサイダー、ステーキ用肉やソーセージを買い、朝食も済ませた。
こういう山奥は、殆どが白人ってのが当然なんだか、朝食を喰ってると、どんどんアジア人がやってきた。悪ふざけで、その中の一組に、「もしかして、午後から結婚式に行くとか?」って聞いてみたら、みんなして大笑いしながら、「そうそう!」 ま、そりゃそうだわな。
その後、マーガレットビルという町をちょっとだけ歩いてみたが、夜などは賑わってんだろうなと思わせるレストランもいくつかあれば、過疎化の雰囲気漂う建物も多かった。
結婚式には自分と嫁さんが行った。林の中に椅子を並べての、しゃれた式だった。会場も『Roxbury Barn』ってとこで、披露宴も barn (納屋)を改装したような建物で行われ、みんなメシ喰ったら、適当に外にでてダベりながら飲みながら、って感じだった。


その間、せがれは友人と山小屋に残り、「アタシと一緒の時は、ゲームもキンドルもさせないから。一緒にずっと歩くんだよ。」と言ってたとおり、三時間以上、山の中や牧場の周りを散歩したらしい。自分自身、広島県の山奥で育ったわけだが、ニューヨーク郊外の我が家周辺には、そんな感じで野放しで遊ばせてやれるとこがなく、今回せがれには普段できない経験もさせてもらい、かなりありがたかった。
今朝(日曜)は、早速山から下り、帰途に。午後からの礼拝に間に合わなければならないってのは勿論のこと、マーケットで買ったものを冷蔵庫に入れときたかったし、週末外出してたので、礼拝で弾かなきゃならない讃美歌を練習できてなく、15~20分だけでも練習しときたかったんで、我が家に寄り、用事を済ませてそのまま教会へ向かった。さすがにピアノ弾いてる間、途中でフラぁ~っとした瞬間があった。
実は今回の運転で、行きも帰りも気になった道路があった。高速道路を降りて、キングストンという町から目的地までニューヨーク州道28号線をずっと走るんだが、途中であの伝説のコンサートが開催されたウッドストックに向かう州道375号線があった。「をを、こっちを曲がるとあのウッドストックに行けるんか!」と感動しながらその方向を見ると、なんと標識に『Levon Helm Memorial Boulevard』(リヴォン・ヘルム記念通り)って書いてある。6年前に他界した、ザ・バンドのオリジナルメンバーの一人、ドラマーのリヴォン・ヘルムが道の名前になってるってことだ。それも、すぐ近所には『ホテル・ディラン』ってのもあった。アメリカのこういうとこが好きなんよなぁ…。
当初、結婚式があの山奥であるって聞いた時は、正直、「面倒くせぇ~」とか思ってたが、山小屋を借りることになった途端、ちょっとだけ行くのが楽しみになり、実際に行って、自然を満喫し、せがれにもいい経験をさせてやれて、本当によかったと思う。結婚式でもない限り、なかなか来ることはなかっただろう。
いつかまた、もうちょっと寝室の多い小屋借りて、友達数人も一緒に行きたいと思った。
あの場所で挙式した新郎新婦、そして全てを可能にしてくれた神に感謝。
Jesus loves y’all.




