ここ数日、1999年秋の、自分達の結婚式の日のことを思い出してた。
別に世間がイギリスのことで騒いでるからというわけじゃない。そもそも興味ない。あくまで別の理由。
うちらが結婚した時は、式は教会、披露宴は別の場所で喰って飲んで踊ったりするパーティと、典型的なアメリカ風だった。それが嫁さんの希望だった…というより、そういうことにあまり詳しくない自分は、ほぼ任せっきり。それ以前に、アメリカだと、多くの場合、披露宴も新婦の親が払うとかで、基本的に花嫁主体らしい。それまでも、2人で友人知人の結婚式に招かれたりしたことが何度かあったので、どんな感じか雰囲気は知ってた。
式は、うちの教会が当時使ってた建物だとエアコンがなく、9月上旬のまだ暑い中、来客をあんなクソ暑いとこにお招きするのも失礼かと思い、コネのあったホワイトプレイズの教会を安めで借りたが、披露宴はそこからハドソン川を越えてしばらく行ったハベストローという町にある、教会から車で40分近く離れた場所だった。ちょっと遠かったが、金額的な面でも料理の面でも結構いいと思った。来客の中には、移動中に問題があった方々もいたようで、申し訳ないと思った部分もあったが、全体的にはみんなに楽しんでもらえたし、うちの両親にとって唯一の海外旅行になってしまったんで、そういう意味でも自分の人生の中で大切な時だった。
元々うちの嫁さんは、こういう祭事を企画するのが好きだったらしく、ウェディングコーディネーターみたいなのは全く雇わずに、DJや写真屋、花屋も自分で探して手配し、郵送する案内や式のプログラム、披露宴の各ディナーテーブルに置くための小物など、全て彼女が考えて2人で作った。
実は、自分は踊りってのがあまり好きじゃない。見るのもそんなに興味ないし、自分で踊るのも、それこそ誰かの披露宴とかのイベントで周りに付き合って少しやる程度。さすがに、自分達の披露宴となると、無理してでも自分にスイッチを入れなければならなかったわけだが、それでも途中疲れて、逃げるかのように、会場の隅っこのテーブルで来客達とビール飲んで語り合いながら、一休みすることもあった。
DJを雇ったんで、基本的に選曲も任せたがが、これもまた、嫁さんがどうしても入れたい曲ってのがあった。1つは、当時キムタクファンだったもんで、SMAPの『SHAKE』。もう1つは、前年末に発売してヒットしてた宇多田ヒカルの『Automatic』。当時はまだ、ネットでCDを注文して日本から取り寄せるということがなかなか無かったわけだが、それくらい人気があるものだと、紀伊国屋とか旭屋などのニューヨークにあった日系の書店でも売っていたので、入手は楽だった。
本当のところ、自分の希望としては、夏目雅子や渡辺謙、郷ひろみが出演した映画『瀬戸内少年野球団』の主題歌を使いたかった。その頃はまだ映画を観たことなかったが、昔ラジオで主題歌を聴いたことがあり、グレン・ミラー・オーケストラで有名な『In the Mood』に日本語詞がついたものだったので、現地のアメリカ人にもウケるかと思った。だが、残念ながら、さすがにこれは入手できなかったし、当時サントラのCDが存在してたのかどうかも定かではない。
ちなみに、披露宴の新郎新婦入場の際に使ったのは、同年1月に他界したジャイアント馬場の入場テーマ『王者の魂』。それに反応したのは、数名のアメリカ人の友人のみだったが。(笑)
DJに任せると、大体定番として、食事中にケニーGの曲が流れるのという場合が多かったので、2、3ヶ月前にDJのオフィスで打ち合わせした時に、「ケニーGは大嫌いなんで、絶対やめてくれ」ということを伝えておいたが、案の定、当日食事中に聞こえてきたんで、MCを呼び出して止めさせた。(笑)
あと、よく披露宴のダンスの時にみんなが盛り上がるのは、ビレッジ・ピープルの『Y.M.C.A.』。
せっかくなら…、と思ったが、前述のとおり、当時はまだ、何でもかんでも日本のCDが入手できた時代ではなかった。Amazon.co.jpがオープンしたのも、翌2000年だった。それ以前に、まだGoogleも有名じゃなく、Yahoo!も登録型ディレクトリーだったので、サイトの検索も今ほど便利じゃなかった。AltaVistaという、Googleの原型のような検索サイトもあったが、英語以外のサイトに対してあまり使い物にはならなかったと記憶している。
だが、日本のCDを海外へも発送してくれるサイトを1つだけ見つけた。DEODEOとかいう、聞いたことない会社だったが、他に選択肢がなかったので、思い切ってそこで注文した。後で知ったのは、その会社、広島では知らない人がいない電気屋チェーン『ダイイチ』が改称したものだった。
そしてなんとか入手したのがこの1枚。

1曲目から『YOUNG MAN (Y.M.C.A.)』が入ってる。
当日は、まずビレッジ・ピープルの原曲を流してもらい、途中で日本語版をミックスしてもらうという風にお願いした。英語版でみんなが盛り上がってる最中に、急に、原曲よりはちょっと早めの同じ曲のイントロが入ってきて、みんなが一瞬戸惑った表情を見せてると、DJが、「あれ? どうしたんでしょうか? これは、もしかして……日本からかぁ!?!?」っぽいことを、わざとらしく叫んでた記憶がある。それもまた、日本人も現地のアメリカ人も盛り上がって、みんなにウケた。
あの時のためだけに買ったCDなんで、あれ以来ほとんど、ラックから取り出すこともなかったけど、今夜は超久々にじっくり聴いてみよっかな。
RIP…




