約2週間前(7月15日)のこと。
マンハッタンを歩いてたら、何やら普段以上に騒がしい。5番街や42丁目というと日本にいても時々聞く名前だと思うが、マンハッタンでもかなり混んでるはずの、その2つの通りの角で、数台のパトカーだけではなく、大型バスも2台止まっていて、交通マヒっぽい状態だった。
最初は、バスが誰かをひいたのかと思って心配したが、近寄ってみると、大勢の人達がプラカードっぽいのを掲げて叫んでいる。そこには、
「Abolish ICE」 (ICEを潰せ)
「Protect Children」 (こども達を守れ)
と書いてあった。
このICEというのは、『Immigration and Customs Enforcement』(移民・関税執行局)の略。
米政府が、ICEを通して移民家族に対してどういうことをしているか知らない人は、BBCやニューズウィークの記事を読んでいただければと思うが、大きな問題となっている。おそらく、二度と親と会えないこども達もいることだろう。
自分が目撃したのは、それに対するデモだった。
公立図書館の高台に上り、何が起こってるのかよく見ると、横断歩道に座り込んでる人達もいた。とっさに起した行動なのかもしれないが、むしろ、そっちの方が今回のデモの中心だったのかもしれない。

2台のバスは、逮捕された人を運ぶためのものだった。多くの人達が手錠をかけられ、バスの中に連行されていく。それを見ながら、忌まわしさを感じた。
バスを指さして、「あの中に入れられた人達は、我々の英雄だ!」と叫ぶ人、そしてそれに対して拍手する人達。
自分がいたとこから見る限りでは、デモに参加している人達の大半は白人で、周りにいた傍観者の多くがマイノリティだった。多少違和感も感じた。おそらく、そのマイノリティの人々の中には、自分もデモに参加したいけど、合法的に滞在してる人達でさえ連行されることもある今、安易に首を突っ込まない方がいいと、歯がゆさを感じながら、状況を見守るしかなかったというのも少なくなかったはず。
当然のことながら、政府のこのようなやり方を応援しているのは右寄りの人達で、それに反対しているのは左寄り。そして、右寄りにはキリスト教とかいう宗教の関係者が多い。
以前、この非人道的だと思える行為について、司法長官だったジェフ・セッションズやホワイトハウス報道官だったサラ・ハッカビー・サンダースは、新約聖書『ローマ人への手紙』13章の最初の方を引用し、「『この世』の法律や権威に従うべき」だと説明した。あくまで個人的な意見だが、全体像を無視し、神の御心とやらは横に置いといて自分達の目的のために聖書を引用するという、わかりやすい例の一つだと思う。この国では、宗教関係者はもちろん、政治家もよく使う手段だ。
同じく新約聖書にある『マルコによる福音書』の10章には、男女の夫婦関係について、イエス自身の言葉としてこう書いてある。
「天地創造の初めから、『神は人を男と女とに造られた。 それゆえに、人はその父母を離れ、ふたりの者は一体となるべきである』。彼らはもはや、ふたりではなく一体である。だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」
もし夫婦というのが、「神が合わせられた、引き離していけない関係」であるなら、そこに神が授けてくれたこども達というのも、これまた「人が引き離してはならない」存在だと自分は思ってる。とはいえ、どうせ国から追い出すなら、こども達も一緒に追い出してあげればいいのにと思うが、そんな単純な話でもないんだろうな…。かと言って、「だったら、不法入国すんなよ。」という単純な話でもない。
別に、ここで政治的な意見をダラダラと書こうとは思わん。
ただ、強制的に家族が分離させられることについて、「自業自得」だとか「ざまぁみろ」とかいう意見も多いが、クリスチャンであるかどうか以前に、理由はどうであれ、そういうことを言うのって、やっぱ違うと思う。
離れ離れにされた家族達、特に収容されているこども達のために祈り続けていけたらと思う。
Jesus loves y’all.




