何歳だったんだろうか。制服を着てたんで、おそらく小学生ではなかったはず。多分中学生だったんかな。
学校は、町中を見渡させる場所にあったんで、山の上にあったのか、もしくは丘の上の5階か6階建てだったんだろう。
何やらみんなが窓の外を見ながら騒いでいる。何事かと思い、自分も窓の外を覗いてみると、なんと、まるでゴジラか、ウルトラマンに出てきそうな巨大な怪獣が町に現れてるじゃねぇか…。そんなありえない話でも、夢なので、素直に現実かのように受け入れてしまう自分。
すると厄介なことに、その怪獣がこっちを向いた。どうやら大勢の人間達がいるのに気付いたようだ。
生徒達はみんな、先生たちに誘導されて廊下の端にある階段に向かって歩き始めた。危険な状況だからなのか、普段よりもその廊下が長く感じた。
「こんなんで間に合うんか?」と疑ったが、「これが決まりなんで。」と、廊下の端まで歩き続ける先生や生徒達。
「もうダメかもな。」と半分諦めかけた。
その時、すぐ後ろに、なぜか弟がいることに気付いた。実際には3学年しか離れてないが、それよりもうちょっと幼く見えたし、そもそも同じ時期に中学校に行ってないんだが、これまた夢なので素直に受け入れてしまう自分。
どうにかして逃げ出さなきゃと思い、辺りを見渡してると、すぐそばに用務員が作業用のために使ってたと思われる、かなり小さな出口があることに気付いた。
「こっちじゃ!」と弟に叫ぶ。普通だったら、「いや、あっちの方がええじゃろう。」とか、何かしら言いがかりつけてきて即兄弟喧嘩が始まるんだろうが、珍しく黙って言うことを聞いてくれた。
「なんで他の人達はこっちから出んかったんや?」と思った瞬間、向こうの方から先生か誰かの、「そっちは行っちゃいけん言うたろうが!」みたいな声が聞こえた。 いつものことながら色々と融通が利かないことだらけだと感じた。
2人で思い切って細い階段を駆け下り、校舎の裏口に出た。
周りは何事もなかったかのように、やけに静かだった。どうやら怪獣はどこかに行ってしまったようだ。でかい割には行動が早いが、これまた夢なので素直に受け入れてしまう自分。
怪獣の声も音も聞こえないが、先生や生徒達の声も全く聞こえない。みんなが無事かどうかも定かじゃない。
でも、そんなことはお構いなく、校舎の裏の芝生の上で寛ぐ2人。弟を救うことができたという達成感のようなものもあった。
そこですぐに目が覚めたのか、それともしばらく寝続けたのかは判らん。
でも夢だと気付いた時、助かったにも関わらず、あまりいい心地がしなかった。弟が夢に出るなんて滅多にないし。
「これって、勝手な行動に出たうちらだけ助かったってことか?」という、夢だと判ってても罪悪感みたいなものがあった。
それよりも、これまで弟に対して全然兄貴らしくなく、むしろ嫌な想いをさせてたことの方が多かったのに、なんで今更夢の中で兄貴らしくなって自己満足してんだ…という、虚しさというか、申し訳無さというか、寂しさみたいなものの方が大きかった。
時計を見ると、目覚ましが鳴るたった15分前。
そんな感じで清々しくなく迎えた大晦日の前日。そのうえ今日はずっと曇りらしい。
日本にいる家族の健康と心の平安を祈りつつ…。
Jesus loves y’all.




