4月8日は、世界最大のプロレス団体WWEが開催する毎年最大のイベント『WrestleMania』だった。今年で34度目。会場は、たった4年前にも開催されたばかりのニューオリンズのスーパードーム。
通常、わざわざ高い金出して、旅行までして観に行きたいと思うことはないが、2年前のダラスとか、テキサス時代に何度も車で遊びに行ったニューオリンズなど、思い入れのある土地での開催となると、心が動くこともある。でもまぁ、嫁さんとせがれをほったらかして、自分だけ旅行っつうのも気が引けるので、今回もやめといた。正直、もうそこまでの気力もないのかもしれないが。
レッスルマニアが開催されるのは日曜日だが、毎年その前の金曜や土曜に、WWE以外の多くの団体も、近辺で試合やサイン会などの色々なイベントを開催するので、数日の間、その町が世界中からプロレスファンが集まるプロレスシティと化す。更に、ここ数年は、WWE自体、レッスルマニアに先駆けて開催される殿堂式典や二軍的な役割を持つNXTなどのイベントに加え、月曜に『Monday Night RAW』、火曜に『Smackdown Live!』と、毎週のテレビ生中継が続くので、金曜から火曜まで、WWEだけでも当地周辺で5日間の大イベントとなっている。
ただ、それもあってか、以前はもっと、レッスルマニアこそが目玉で、1年の集大成のような感じがするのが当たり前だったが、ここ数年は、「では、明日のRAWと明後日のSmackdownをお楽しみに!」的な要素が増え、なんとなく「一つの区切り」というのを感じれなくなった。
今回の個人的な注目点は、2年前に新日本プロレスから引き抜かれた中邑真輔と、日本では華名のリングネームで活躍していたASUKAといった日本人選手達の王座挑戦、総合格闘技選手ロンダ・ラウジーのプロレスデビュー戦、そしてWWEユニバーサル王者ブロック・レスナーにローマン・レインズが挑戦するメインイベント。
個人的に、いい試合だと思ったのは、スマックダウン女子選手権で、シャーロット・フレアーにASUKAが挑戦した試合。
ASUKAが負けた時は、もしかして真輔がA・J・スタイルズに勝ってWWE世界王座奪取なのか?…と思った。さすがに日本人を2人とも勝たせるわけにはいかないだろうが、どちらも勝たないというのも、多くのファンは残念がり、これまで2人を盛り上げてきたのが無駄になりかねない。でも、結果はAJの勝利。試合後、真輔は、AJの王座防衛を称えるかのように、ベルトを渡したかと思いきや、急所打ちで悪役に転向。ブーイングの中、AJを蹴りまくる。
真輔にはそのうち悪役になってほしかったし、こうすることによって、AJとの抗争もしばらく続けば、王座奪取もほぼ確実かもしれない。一度負傷で引退させられたが今回復帰したダニエル・ブライアンとの抗争というのも見てみたい。また、仮に王座奪取できても、WWEで長期政権を築けるほどの英語力がないのが事実なので、ポール・ヘイマンに真輔のマネージャーになってほしいと思っているのは自分だけじゃないはず。
メインイベントのレスナーとレインズの試合は、決して多くの人達が言うほど酷い試合だったとは思わないけど、やはりWWE(というかビンス・マクマホン会長)は、レインズの売り出し方を間違えたのかもしれない。
4年前のロイヤルランブルで、多くのファン達がレインズの優勝を期待していた中で、出戻りのバティスタを優勝させたことで、売り出すタイミングを逃したような気がする。そして、翌2015年のランブルで、今度はダニエル・ブライアンの優勝が期待されていた中で、レインズを優勝させ、以来、観客のブーイングが続く中、無理矢理、「今後はレインズがうちの善玉エース」というのをずっと押し付け、それにも関わらず、今回レスナーに勝たせて、これまでレインズを売り出してきた努力を全て無駄にしたように見える。
今月27日は、サウジアラビアのジッダで『ザ・グレーテスト・ロイヤル・ランブル』というのが開催され、早速そこでレスナーとレインズの再戦が組まれているが、ただでさえ、AJを含む他のトップ選手の殆どがレスナーに負け、最後の砦だったはずのレインズまでが、今回のレッスルマニアで血みどろの負け方をしたとなると、再戦で勝ったとしても、説得力に欠けるのではないかと思う。
とはいえ、他に誰がレスナーを破ると説得力があるのやら。翌日のRAWで、インパクト・レスリングからWWEに復帰したボビー・ラシュリーという声もあるが、なんとなくカリスマ性に欠ける。ブライアンというのもありなのかもしれないが、大男大好きなビンスが、当初そこまで売り出す気がなかったがファンの支持を得てしまったので売り出すしかなかったと言われるブライアンをレスナーの相手として仕立てたいかどうか。当然自分としては、AJとの抗争にある程度区切りがついたら、ヘイマンがレスナーを裏切り、真輔に寝返るというのが面白い。
それ以前に、現在のWWEに、レスナーのような、「実はプロレスを愛してない」と言われるパートタイムの選手が必要なのかどうかが、個人的な疑問。
とにかく他にも色々あり、近年の中でも、何等かの達成感というより、幾つかの疑問点が残った消化不良な今年のレッスルマニアだった。
来年はNFLのニューヨーク・ジャイアンツとニューヨーク・ジェッツが本拠とするメットライフ・スタジアムでの開催。前後のイベントには行ってみたいと思うが、ここ数年のレッスルマニアのことを思うと、4月上旬のまだまだ寒いニューヨーク、わざわざ野外の会場で観戦したいかどうか。
それはそうと、四半世紀近く行ってないニューオリンズ、レッスルマニアとかマルディグラとかシュガーボウルとかジャズフェスティバルとか、そういう祭りごとで町中がごった返しじゃない時に、また遊びに行きてぇな…。
Jesus loves y’all.




