今日は、久々にタカホーでの演奏。去年の夏に追い出されるまでうちの教会が20年以上使ってた建物の脇にあるエマニュエルAME教会という黒人教会に招かれた。前回は2016年10月、長年奏楽者を務めていた男性が天に召された際の追悼コンサートだった。
正直、当初依頼された際には複雑な気持ちだった。うちの相方は、時々そこの礼拝堂を借りて音楽のレッスンをしてるので、結構出入りしてるが、実は自分はこの一年、あの町自体に行ってなかった。それだけ気分が悪かったってことだ。
今回のイベント名は、『Unity & Peace in the Community』(コミュニティにおける一致と平和)。それを知った時、嫁さんが苦笑いしながら言った。
「It’s an oxymoron…」
この数年間、うちの教会が通って来たことを想うと、あの町で、それも『一致と平和』という名のイベントに我々、特に自分が参加するというのは、確かに皮肉というか矛盾なのかもしれない。自分自身、追い出される前の数年間も、あの町に足を踏み入れ教会堂を見るだけで気分が重くなっていて、決して『平和』とか『平安』という表現はできなかったし、うちの教会の敵になることを選んだ人間のことを考えると『一致』も屁もないという感情が、全くなくなってるわけでもないからだ。
だが、そんな期間でも、エマニュエルAME教会に入ってくと、いつも心が和やかになってたのは事実で、今回も例外じゃなかった。それとは別に、もしかしたら、演奏の依頼を受け入れたこと自体、自分がちょっとでも癒しに導かれてるのかもしれない。
うちらは典型的な黒人音楽をやってるわけじゃなく、どちらかというとイベントの真ん中や後半とかにやると浮いてしまうんで、大体ここで演奏させていただく場合は、前半の方が気が楽だ。今回も前回同様、最初にやらせていただいた。
まずは、久々に『I worship You, Almighty Lord』、『There is none like You』、『Jesus, Jesus, Jesus』をメドレーで。多分、10年前の夏に日本でやって以来かも。みんなかなり盛り上がってくれて、うれしかった。
次の曲をやる前に、いつものように自分が挨拶をした。ここ数年のうちの教会に起きた出来事が決して喜ばしいことではないのは、この教会の方々もご存じだが、「でも今日は『Unity & Peace』がテーマだから、そんな話じゃなく、いい話をさせてください。」ということで、昨年夏、相方がついに永住権取得できたことを報告したら、みんな嬉しそうに拍手してくれた。
永住権申請の準備には何年もかかった。新聞や雑誌の記事やイベントのパンフレットなどで彼女の名前が出てたものを集めるのはもちろん、思いつくだけ彼女の知り合いの音楽関係の人達に推薦状を書いてもらった。だが、ある日、自分がとんでもないことを思いついた。知り合いでもない有名なクリスチャンのアーティスト数人に推薦状を依頼するってことだ。
案の定、ほぼ全員返事をくれなかった。だが、1人だけ、それもその中では最も有名で影響力のある人が推薦状を書いてくれた。残念ながらその人は、相方が申請書類一式を移民局に送った数ヶ月前に天に召されたので、取得した際にも報告をすることができなかった。
そういった経緯を説明してから、これまでうちらが演奏する際、ほぼ毎回この曲をやってきたが、推薦状を書いてくれた人が書いたその曲を今後も演奏し続けたい、そして今日はみんなで集まって神様を賛美する日だが、うちらとしては故アンドレ・クラウチ師に感謝するという意味も込めたいということを話し、『My Tribute』を演奏した。

友情の印として贈られた置物。
毎回ここでやる時は、黒人じゃないのは我々だけ。それでも引き続き招待してくれて、本当にありがたい。こどもだった連中が、大人になってこども抱いてたり、教会の中心メンバーみたいになってたりで、客観的にみんなの成長を見届けることができて、それもまた嬉しいが、ここに来る度に、本当にみんなが支え合ってるコミュニティという感じもして、うちらにとっても励みになる。
ここ数年、Happy Hourとしての活動はかなり減ったが、今後もどんどん色んな教会と関わっていけたらと思う。
Jesus loves y’all!




