この火曜だったか、夜テレビでプロレスを観終わって数分後、テレビジャパン(NHKが北米で放送している局)で何かおもしろいのやってねぇかなと思ってチャンネルを変えた。
学生らしき男の子が、古い建物の入口を、ちょっと離れたところから覗いてる場面だった。
まったく、何のドラマかも知らないし、予備知識さえなかったわけだが、数分観てると、おそらく実話をもとにしたものだろうという感じがした。
ドラマについては、このページを参照していただくとして、そこにも書いてあるとおり、終始登場人物達が語り合うだけのドラマだったわけだが、大河ドラマや朝ドラとは別に、昭和のNHKがよくやってたような雰囲気のドラマで、懐かしさを感じた。とはいえ、過去30年間NHKでどんなドラマをやってきたのか殆ど知らないので、最近のがどうなのかよくわかってないが…。
ドラマだけを観てると、寮を守りたい学生達と、そんな気持ちを無視して金と政治的な理由で寮を潰そうとする大学側の対立という感じだが、こっちも嫌なことを思い出してしまった。
このブログでも何度となく書いている、ここ数年のうちの教会のことだ。簡単に言うと、少なくともうちの教会側からの見解としては、20年以上使った建物を、金と政治的な動きで持っていかれちゃって、追い出されたってこと。その中でも、神による導きってのを色々感じてはいたが、真っ只中にいた自分としては、あまり思い出したい話ではない。
ドラマに出ていた寮とうちの教会では、その伝統、知名度、影響を受ける人達の人数など、色々考えると、全く比べ物にならないのは確かだ。でも、宗教だろうと教育だろうと、『上』の方にいる連中ってのは、綺麗ごとを並べながらも、結局は政治力と金で物事を動かすという点では同じことだ。
確かにうちの教会が使ってた建物が売却されなかったとしても、我々でだけで管理し続けるってのは難しかったのかもしれないし、かと言って、それまでの流れからして絶対無理というわけでもなかったかもしれない。そんなことは別として、別の教会が建物を手に入れるまで、そしてその後のやり方が、汚く、せこく、いやらしかった。
そのドラマは『ワンダーウォール』という題名だった。学生側と大学側の間にある『壁』についてだ。学生達が抗議しに行ってた事務所に造られた『見える壁』。そして、大学側が学生達からの抗議を防ぐために持っていた、窓口の担当者を次々と代えていく手口といったような『見えない壁』だ。
うちの教会の場合はどうだっただろうか。当時属していた教団が別の教会に建物を売ってからは抗議らしい抗議はしていない。ただ、売却が正式決定するまでは、教団のやり方に疑問があったので、何度か抗議をした。
でも、通常はうちの教会員の数が少ないとか、金銭関係とか、数字だけを持ち出すビジネス的な対応しかしないくせに、こっちが抗議をすると聖書からどこかの個所を引用する。そして、新しい所有者は常に、「追い出そうと思えば、いつでも追い出せるんだぞ。」と言わんばかりの態度。
教団からの都合がいい時だけの聖書箇所の引用、そして建物の新しい所有者からのパワハラが、うちらのとっての『見えない壁』だったのかもしれない。
幼い頃から、親父には色々な話を聞かされたわけだが、親父や周りの人達が実際に経験したことを基に、「教会とか教団とか言うても、結局は金や政治で動かされるんよ。」ってのも、何度か言われたことがあった(誤解を防ぐために付け加えると、親父が若いころの教会の人達や、教会が属している教団との問題についてであって、自分が世話になった牧師先生ご夫妻や教会員の方々のことを言ってるわけじゃない)。それを、自分が遠く離れたニューヨークで実際に経験したってことか。
あれ以来、今でも考えたら腹が立つだけなんで、なるべく思い出さないようにしている。聖書で教えられている「愛する」とか「赦す」ってのが、律法的や義務的になったら意味がないような気がするし、そんなものは神の助けなしで自分一人の努力だけじゃ到底無理な話。とはいえ、今ここまで書いてられるのも、最近になってやっと気持ちが落ち着いてきたってのがあるのかも。
上にも書いたとおり、ドラマに出てきた寮と、うちの教会では、色んな面で全く違うわけだが、決定的な違いにも気づいた。
彼らにとっても、うちらにとっても、規模こそは全く違うが、人間関係とか歴史、そして思い出といった、目には見えない財産がある。だが、彼らにとっては、寮という場所自体がアイデンティティーで、それが潰されてしまうと、拠点さえもなくなってしまう。
一方、うちらは建物がなくても、同じ信仰を持った仲間が集まれば、そこが教会だ。
うちの教会のここ数年の流れを通して、神が何らかの方向に導いてくださってるのも強く感じるし、建物を失ったからこそ得たものも多い。その経緯こそ酷かったが、そういう経験があったからこそ、本当に最後まで信頼できるのは神のみだということを改めて実感できたのも事実。
Jesus loves y’all.




