Public Enemy


この名前を聞くと、やっぱ一昔前に人気があったラップのグループを思い出す人の方が多いんじゃろうな。

でも、うちらプロレスファンからすると、やっぱかつてPhiladelphiaのローカル団体で後に全米でカルト的な人気が出たECW (Extreme Championship Wrestling)で活躍したタッグチームのこと。

1995年2月、当時では画期的…というか、おそらく初だった、インターネットのプロレスファンによるコンベンションがPhillyで行われた。ネット上でもECWかDallasのローカル団体GWF(Global Wrestling Federation)のどちらかを中心にするか論議がなされたが、結局Philly外の多くのファンにとって『まだ見ぬカルト的プロレス団体』のECWがあるPhillyが会場となった。

コンベンションでは、参加者のためのホテルと貸切バスが用意され、二晩連続でECWの試合を見に行けるというパッケージが用意されてた。

だがこういうものにはハプニングが付き物で、最初の晩、会場のある丘を登ろうとしたところ、バスが止まってしまった。原因がわからず、2月の寒いPhillyだというのに、みんな外に出てダベってたっけ。そしたら、ある軽トラックが来て、その中の一人が、「You’re blocking the road!(おめぇら道を防いでるぞ!)」と叫んできた。それが、会場までリングを運んでいたPublic Enemyの一人、Rocco Rock (本名 Ted Petty – 写真右)だった。タッグパートナーのJohnny Grunge (本名 Mike Durham – 写真左)も一緒に乗ってたため、バスのアクシデントにも関わらず、我々コンベンション参加者は大喜び。彼らがリング運搬のため急いでるにも関わらず数分間話してしまった。

そのせいか、今ではWWEの大スターになってしまったChris Benoitが、その晩の試合前にリング上でマイクを持ち、「I wonder if those internet f***heads enjoyed the bus ride.」と皮肉った。日本語に訳すと、「あのインターネットのアホども(本当はもっときつい表現だが…)はバスでの移動を楽しんだのかな。」といった具合か。というわけで、次の日のECWアリーナでは彼の試合中に、我々みんなして、「We’re f***heads! We’re f***heads!」と叫びまくった。その試合の模様は、2004年にWWEから発売されたChris BenoitのドキュメンタリーDVD『Hard Knocks – The Chris Benoit Story』に収録されている対Al Snow戦で見られる。試合序盤、観客席右側でやたらはしゃいでる帽子をかぶった東洋人が自分だったりする。

トラックから我々に叫んでたPublic EnemyのRocco Rockは2002年9月に49歳で他界。そのパートナーのJohnny Grungeも今朝亡くなった。39歳だったとか。

コンベンションから11年が経つ。あれからどれだけのレスラー達が若くしてこの世を去っただろう。ちょっと多すぎる様な気がする。

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