Billy Joel @ Madison Square Garden

自分が最も好きなミュージシャンであるビリー・ジョエルは、今年の一月から、毎月マディソン・スクェア・ガーデンでコンサートを行っている。切符が売切れたら、次の月の公演を追加という方法らしい。

そんな調子なので、自分もなかなか切符を手に入れることができなかった。四月の段階で、夏にでも行こうかと思ってたら、十一月の分しか買えなかった。一人なら直前でも買えたかもしらんが、夕べ行ったのは五人だったんで、無理もないか。

これまでビリーのコンサートでは前座なんてなかったが、今回のシリーズでは前座を起用しているらしく、夕べも開演時間丁度に、ジェイミー・カラムとかいう若いイギリス人が出てきた。上手いとは思うが、ビリーの影響を結構受けてそうだし、自分の演奏の合間に、やたらとビリーを褒めることを言ったりで、なんとなく、「せっかくの機会なのに自分の価値を下げ過ぎ」って思えた。後で知ったが、何度も日本でツアーやってるらしい。やってることは面白いと思うんで、自分がここで書いてる感想による偏見は抜きにして、是非一度聴いてみてほしい。

開演一時間後くらいにビリー登場。最初は『Miami 2017』。ニューヨーク市が沈没する歌だが、市の周辺の地名も出たりで、みんな盛り上がる曲。ビリー本人も言うように、ピアノだけではなくバンドがいないと成り立たない曲。

三曲演奏した後、二曲挙げて、観客の歓声の大きさでどちらを歌うか決める。『Zanzibar』と『All for Leyna』(レイナ)だったんだけど、自分は当然ジャズっぽい前者を。だが、やっぱコンサートで盛り上がるのは後者らしく、大半の客は残念ながらそっちを選んだ。

そして二曲やった後、両方ともニューヨークに関するということで、再び観客に選ばせる。今度は『Summer, Highland Falls』(夏、ハイランドフォールスにて)と『The Downeaster Alexa』。これまた自分は前者を希望したが、タイトルにだけ地名が入っていて、詩の内容はどの土地にも関係ない曲より、やはり観客はロングアイランドの漁業の問題について歌った後者を選んだ。

その後に二曲歌い、『New York State of Mind』(ニューヨークの想い)。そして、観客には選んでもらえなかった『Summer, Highland Falls』をやってくれた。

それに続いたのは、なんと、ビリー本人が、演奏し過ぎて飽きたんで、しばらくやりたくないと宣言していた『Just the Way You Are』(素顔のままで)。色んなパターンでイントロをやってじらしながら始める。別に自分もそこまで好きな曲じゃないけど、数年前まではもうやらないって言ってたのを思うと、五度目のライブにして初めて聴く価値はあった。

なんとゲストが来ているとのこと。いや、毎月やってるんで、実は当然ゲストを期待してたのが正直なところ。先日共演したばかりだと言うんで、「をををを! もしかして…」って思ってたら、『Big Man on Mulberry Street』のイントロが。隣に座ってる嫁さんに、「スティングじゃろ!」って言いかけたら、実際に登場し、ビリーとデュエット。元々ビッグバンド系の歌なんで、二人には合うと思う。

数曲後、もう一人ゲストが来てるとか。以前、『ロックの殿堂』で、ビリーが任命スピーチをやったとか言うんで、「ジョン・メレンキャンプじゃ!」と伝えると、目を丸くする嫁さん。一緒に来てた三人は誰か知らなかったらしいが、日本でヒットした曲はあまりなかったと思うんで、しょうがないか(『Small Town』くらいか? ようわからんが…)。自分も別に好きってほどじゃないけど、ただで観れるなら、悪くない。本人の持ち歌をビリー達の伴奏で歌った。

その後は最後の(?)ヒット曲だった『The River of Dreams』、自分が最も好きなビリーの作品の中の二曲『Scenes From an Italian Restaurant』(イタリアン・レストランで)と『Piano Man』で一旦引き揚げ。

アンコールで、やっとピアノから離れて『Uptown Girl』。自分がビリーのことが気になり始めたきっかけとなった曲だ。そして『It’s Still Rock and Roll to Me』(ロックンロールが最高さ)。若い頃には、ピアノの上に乗っかって跳びまくったり、ステージの端から端まで走り回ったりしてたが、それが祟ったらしく、今では腰の状態が酷いらしい。二曲とも流石にそこまではできなかったが、それでもお決まりのマイクスタンドで遊ぶパフォーマンスはやってくれた。

既に『Piano Man』をやっちゃったんで、閉めは予想どおり『You May Be Right』(ガラスのニューヨーク)と『Only the Good Die Young』(若死にするのは善人だけ)。後者は、詳細こそここでは書けないが、自分にとっても思い入れの強い曲。また、キリスト教をバカにしてる曲なのに、なぜかビリーのそういうノリが好きだったりする。

正直、「もしかしてこれが最後かも…」とか思って聴いてたので、『New York State of Mind』や『Scenes From an Italian Restaurant』の途中では、「この人がいたから、自分はまたピアノやり始めたいって思えたんじゃ…。」とか考えると、涙が出てきた。

MSGでの月例公演は既に来年六月まで決定している。それで、エルトン・ジョンが持つ同会場でのコンサート最多記録に達するらしい。ビリーの本拠地と言っても過言ではないこの会場、是非七月まで続けて記録を破ってほしいところだ。

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